あしたまたるる その宝船
文菊師匠の「芝浜」を聴くために上野の鈴本演芸場に
僕が着いたときにはちょうど講談の琴調さんの出番でした。
昔は12月13日は煤払いの日と決まっていたそうです。
1702年12月13日
煤竹売りに変装した大高源五が
両国橋で旧知の室井其角と久しぶりに会ってしまう。
討ち入りを悟られまいと
やり過ごそうとするが、其角に気づかれてしまい
「風流」をすることに
橋から見える川の流れを見た其角
「年の瀬や 水の流れと 人の身は」
と詠むと源五は
「あしたまたるる その宝船」
と返歌した。
「忠臣蔵」ではお馴染みの名シーンですが
まさにその日にこの話が聞けるというのはなんとも感慨深い。
その後の落語も
桃花さんは「権助提灯」
文菊さんが「芝 浜」
と冬の寒い夜や、朝に外を歩く場面や、除夜の鐘を聞きながら一年を振り返る場面など
今の時期ならではの演目が続きます。
昔から日本の人の娯楽の場として
人気を博してきた「演芸場」は
季節感の中に我々の心の奥底にある情緒を刺激する何かがあることを教えてくれます。
14日は赤穂浪士の討ち入りの日
とはいえ、旧暦ですから、今宵とは違って
満月だったとは思いますが。
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