切り離すためのマジックワード

フィクションより。 

 

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夜中1時過ぎ、寝入り際に電話がかかってくる。

 

アラームにするのを忘れてたことを後悔しながら着信を見る。ニューヨークのマイケルからだ。 


「ちょっと聞いてくれよ」

 

マイケルは少し興奮気味に話をする。

 

「どうしたの?」 

 

長くかかりそうな予感を感じながら英語で答える。向こうはランチタイムのようだ。

 

「今日、スタッフのケビンに挨拶をしたら、あいつ無視しやがったんだ」

 

ケビンって誰?と思いながら続きを聞く。

 

「こっちが機嫌よく、おはよう、と言ったのに素通り。許せねぇ」

 

「...気づかなかっただけなんじゃない?」

 

「いや、そんなことはない。こっちをチラリと見たし」

 

「聞こえないこともあるでしょ」 

 

「いーや、あいつは昨日もちょっと態度がでかかったんで、気になってたんだ」

 

「ケビン...のことはよくわからないけど。今朝の話?」

 

時計を見ると夜の1時15分を指している。明日は6時起きの予定だ。

 

「そう。出社してすぐ、廊下ですれ違ったんだ」

 

「で、挨拶をして相手が返してくれなかった」

 

「イエス」

  

「で、ずっとイライラしてるの?」

 

「そうだよ。どう思う?」 

 

「あの...どうでもよくない?」

 

 

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私自身、ちょっとしたことをずっと考えていて時間を無駄にすることがよくあるので、気をつけています。

 

 

「あの人がこうで、ああで」とか。

 

「あれをああしていれば、こうしていれば」とか。

 

「言った」とか「言わない」とか。

 

「昨日も」とか「先週も」とか。

 

  

マイケル(架空の人物🤣)は朝の9時にケビンに挨拶を無視されて、電話かけるまでずっとそれを考えていました。Hello に Hello が返ってこなかったが故に、午前中はずっと不機嫌でした。

 

 

 

聞いている方としては思います。

 

「一日の半分が...もったいないよ😅」と。

 

 

 

もし、ケビンが本当に無視したとしても、もったいない。もしそれが、マイケルの勘違いだったら、もっともったいない。

 

 

過去の引っ掛かりに生きるのをやめて今を生きる。

スッと忘れ、楽しいものに心を向ける。

 

 

 

...でもこれには訓練が必要かもしれません。

 

  

 

「どうでもいいじゃないか」

 

 

 

この「どうでもいい」という言葉は、現代社会では、実はかなり貴重な言葉のような気がしています。

 

 

「ひっかかる出来事」の陰に潜む「許せない」が多いと自分が苦しいですから。

 

 

電話越しのマイケルのように。

 

 

 

「どうでもいいじゃないか、そんなことは」

 

 

 

その後の自分の人生もあるし、大切にしなきゃいけない人が他にもいるでしょう😊

 

 

 

もちろん考えなきゃいけないことを「どうでもいい」とはダメですが。

 

 

「明日の契約で先方から要望があったんですが...」

 

「どうでもいいじゃないか」

 

 

はできませんが、そうではなくて、しがみつく必要のないものをパッと手放す。

 

 

一瞬掴むのはしょうがない。

でもすぐに離す。

 

  

 

その時のMagic Wordの一つが「どうでもいい」です。

 

 

どうでもいいことをパッと離して、大切なこと、必要なこと、楽しいことに手を伸ばす。 

 

 

お昼休みには深呼吸でもして、リセットして、また新しい午後を迎えましょう。

 

 

今を生きる、には工夫が必要なような気がしています。

 

 

L&R まつお

L&Rvillage

株式会社 L&Rヴィレッジは作家喜多川泰の事務局の運営をはじめ、学びと読書を通じて人生を豊かにする場を創造する会社です。